【深センのドローン教習所に潜入取材】ドローン操縦士のほとんどが政府関係者だった。物流用ドローンは普及するか?

2月18日 SMD(智航无人机有限公司)が開発したV330というドローンが、3kgの荷物を12km離れた島に運んだことが話題になった。これにより物流用ドローンの潜在能力が注目されている。
現在は主に「警備」としてのドローン活用が主流だが、今後はこれに続く活用先が「物流」に変わっていくのではないだろうか。
ドローン関連に対する投資は近年冷静になりつつあるが、今回の成功によって投資が再加熱すると考えられている。
今回、当メディアの現地リポーターであるMurraが、深センで最も有名なドローン教習所である「tengyun air」の劉俊辉CEOにインタビュー取材を行った。


(写真)劉俊辉CEO

Murra:今注目されている物流用ドローンについて、この先の展望をお聞かせください。

劉俊辉CEO:“中国の都市は人口密度が高く、建物が密集しすぎているため、今のドローン技術では、まだまだサービスにならないでしょう。 ドローンが配達員の代替手段になり得るのは、少なくとも5年から10年の時間が必要です。”
まず、建物が密集していることで、一戸一戸に配達することが難題となっている。
それに、配達の途中でドローンが捕獲されたり、荷物や個人情報が第三者に取られたり、破壊されたりといった可能性を考えたときに、国民性から見てもリスクは高い。
もう一つは空の交通ルールについての規定が決まっておらず、ドローン同士が衝突して落下するなどの被害が起こったときに対処ができないのである。
今後ドローンがどのように物流マーケットに向かっていくのか、劉俊辉CEOは断言できないと言ったが、例えば物流倉庫から集散地などといった、点対点でのルートは短期間で実現できることは明らかであると予測している。
政策次第では、近いうちにドローンが輸送手段に取って代わり,物流センターからドローンを使って集積地への配送をすることも夢ではない。
では、今教習所で操縦士の勉強をしている人はどんな人たちなのだろうか。
劉俊辉CEOによると、主な学生は政府関連で、交通機関の見回りや、電線の点検用、消防署での消火実験などのためにドローンの操縦技術を教わっているようだ。

実際、政府関連の仕事の現場ではドローン操縦士の需要が増えているとのこと。 消防士のドローン訓練を例にあげると、実際に火災現場でドローンを使って消火をしたり、被災地域に支援物資を送ったりする事例が増えている。

中国らしい話だが、外国人がドローンを操縦して重要な情報を国外に漏らしたりすることを防ぐため、自国の操縦士を育てなければならないという考えのもと、毎年1,000人以上の中国人の学生が増えているそうだ。


(写真)教習所の生徒たちと

いま話題沸騰のドローン教習所について、劉CEOは自慢げに話してくれた。

劉俊辉:“この教習所は中国の華南地域で五種類のドローン教習資格を持っている唯一の会社なんです。世界的なドローンの生産拠点である深センに位置し、香港と隣接しているので世界中の関連情報がすぐ手に入ります。”
ドローン操縦士の資格を取るのは難しく、2015年当初の平均合格率は4割だったが、劉俊辉CEO率いる「Tengyun airA」の実績としては、試験を受けた生徒400名のうち398名が合格しており、合格率は99%という成果を出した。
ドローン操縦士の訓練プログラムが徐々に精度を増すことで、今後ドローン免許を持つ人も増えていくが、同時にドローンの機能も複雑になっていくため、ドローン教習所の競争も白熱していくと言われている。


(写真)世界トップシェアの深センDJi製ドローンが教習所でも活躍中

 

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