経済特区成立から37周年、「深セン速度」から「深セン品質」,そして「深センモデル」へ

【ライター:川ノ上和文】

1980年8月26日は深センが経済特区となった日で、2017年の今年で37周年を迎える。

中国都市競争力研究会が発表した「2016年中国都市総合競争力ランキング」で深センは上海、香港に次ぐ総合第3位で、北京、広州を抑える結果となった。同ランキングは総合力として経済、社会、環境および文化の各資源に加え、区毎の資源分配および国際資源による競争力の各項目を指標としている。また、同協会発表の「2016年中国都市成長競争力ランキング」で深センは第1位であり、同じく沿岸都市として成長を続けている天津や内陸の要として堅実成長をする重慶を抑える結果となった。

 

イノベーションシティーとして存在感が高まる深センは2016年に複数の国家機関により発表された「国家中小企業創業イノベーション模範都市」の15枠にも選出されており、他都市のロールモデルとしても依然高い注目を集めている。

 

これまでの37年を通じて、深センは人口3万人の小さな漁村から管理人口(戸籍人口および流動人口)2000万人を超える移民大都市へと発展を遂げた。都市面積は3㎢から約1996㎢、GDPは1979年には1.79億元(約28.6億円)から2016年19492.6億元(約311.9億円)へと拡大した。

1983年の深南大道

 

急速な経済成長に伴い深セン企業の国際舞台での影響力も高まっており、フォーブス発表の2017年世界トップ500企業の中で深セン企業は6社入っている。(中国平安、華為、正威国際グループ、招商銀行、万科、テンセント)また、国際特許申請件数は2014年時点で1.16万件、これは5年前の3倍の数となる。さらに2015年には1.33万件となり、年々増加傾向だ。

 

このような国際特許申請件数の継続的成長には研究開発拠点の設置と優秀な人材の獲得が不可欠。深センでは2009年より戦略新興産業および未来産業を定め、エンジニアリング研究センター、企業技術センターなどのイノベーション拠点の設置を進めてきた。これにより競争力の高い企業育成に力を入れ、近年はその動きも加速している。2016年までに施設設置は累計で1493箇所、輩出した国家レベルのハイテク企業は2016年単年で2513社に増加し、昨年の3倍以上となった。国家レベルのハイテク企業数は累計で8037社にのぼる。

 

もう一つの要である人材誘致施策も抜かりない。中国の海外学位取得者(海亀)の2000年時点で1000人ほどだったが、2017年までに累計8万人まで増加し、流入人口数は年々過去最高を更新し続けている。海亀を含むイノベーション人材の誘致のため、2016年深センは「千人計画」創業パーク、「孔雀計画」産業パーク、市の人材トレーニングセンターなどの人材を呼び込むための施設をを相次いで開設。これらの場所でイノベーション人材大会を開催した。その成果もあり2016年単年で高度技術を持った専門チーム23、海亀人材1万人、技術人材12.6万人が深センに集まった。

今や中国を牽引する大都市への進化した深セン。1982年、建設中のビルに掲げられていたという「深セン速度」というスローガン、その名の通り急速な発展を遂げてきた。時を経て2010年、深セン市は経済発展施策において「深セン品質」への転換を打ち立て、省エネルギー、省資源、低環境負荷での高品質かつ効率的な成長モデルを作り上げてきた。そして近年はこれらの蓄積資源を「深センモデル」として中国内外へと積極的に展開していく動きが見られるようになってきた。ますます成長する深センの次の3年、5年、10年の動向に引き続き注目したい。

 

川ノ上和文氏の記事一覧

 

中国经营报

http://finance.sina.com.cn/roll/2017-04-08/doc-ifyecezv2467752.shtml

 

新华社

http://news.xinhuanet.com/fortune/2016-08/16/c_1119397832.htm

 

深圳商报

http://www.sznews.com/news/content/2017-07/21/content_16775957.htm

 

 

Add a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です