進む深センへの”海亀(海外で学位取得した中国人人材)”流入、年間1万人を突破

【ライター:川ノ上和文】

中国では海外留学で学位を取得し中国に帰ってくる人材を海亀(=帰と同音であるため)と呼ぶことがある。深センはその海亀の”帰港地”として年々人気が高まっている。

2017年2月に市の人力資源および社会保障局は、<深セン市2016年度留学人員引進情況分析報告>を発表した。報告書によると、2016年の深セン市における留学経験人員の受入は10509名となり、昨年より3471名増加した。男女比率は、男性が46.1%、女性が53.9%で女性が過半数を占めている。年齢で見ると、35歳以下が93.7%、その中でも1990年後半出身者が50%を占め、若年化の傾向が強い。

 

深セン戸籍を持つのはその内20.6%で、非深セン戸籍者は中国各地32の省、自治区、直轄市からの流入である。2016年度の深セン戸籍申請中の人数割合は64.5%となっている。

人力資源および社会保障局の担当者は現地メディアに最近の傾向についてこのように語っている。

 

”深センは海外留学帰国組の就職場所として人気が高まっており、3年連続で40%を超える増加率となっています。深セン戸籍の申請者も年々増加しており、深センで成長機会を求めることは彼らにとって一般的になっています。”

 

渡航先別に見ると、海亀の渡航先は53の国と地域に広がっており、欧米圏が依然人気のようだ。上位6カ国は次の通りで、香港25.9%、イギリス25.6%、アメリカ17.8%、オーストラリア7.3%、日本3.2%、フランス3.1%となっている。

 

学習分野別では理学系が最も多く、次点として管理、経済、工学が続く。就職者が85.9%を占め、従事している業界は金融が最も多く、IT、コンピューター、教育と続く。金融とITは深セン市の強化産業であり、成長機会が大きいことも影響しているようだ。また、10.5%が創業の道を選んでいる。

企業別には、IoT総合メーカーとして国際競争力をつけているファーウェイ(華為)、4大保険会社の1つ平安保険、スマホメーカーZTE(中興通訊)が人気を集めている。

 

人材を引き付けるため、深セン市も積極的な動きを見せており、2016年までに市内に22の留学人員創業パーク、8つの産業パークを設け、広く門戸を開いている。これまで、留学経験人材が創業に関わった企業数は4000を超えており、深セン成長の原動力としてますます存在感を高めている。

 

また、2017年上半期で深センが受け入れた海亀人口は既に8693名、前年比で86.1%の伸びで2017年も記録更新がほぼ確実とみられている。累計の受入人口は既に8万人に達しており、拡大する海亀勢力の動きは目が離せない。

 

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情報元:

深圳市人力资源和社会保障局

http://www.szhrss.gov.cn/xwdt/201702/t20170208_5955479.htm

金羊网

http://news.ycwb.com/2017-08/16/content_25382283.htm

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