深圳ローカル考(19)/広州行くなら、かつて梅田にあった名店へ

大阪在住の方ならご存知かもしれません。ヒルトンプラザEAST(大阪)の地下1階にあった『陶陶居酒家』という、中華料理レストランを覚えていますか?

陶陶居酒家は梅田の一等地で30年以上愛された名店です。残念ながら、日本支店は2015年末に閉店していますが、開業の地・広州では健在。市内に6店舗を展開しています。

本サイトをご愛読の皆様は、“スタートアップ都市”深せんにご興味をお持ちだと思います。その一方で、「幾多の新しい会社が、あと何年続くのか」という視点もお持ちでいらっしゃると思います。

そもそも、中国というマーケットで100年以上続く会社はかなり少ないのですが、陶陶居酒家は1880年創業の老舗です。そして老舗ならではの中国的苦労も多かったようです……。

 

  • リピーター客をひたすら重視する

もともと日本にあった支店は繁盛していたそうです。1000円以下のランチが人気で、梅田という場所柄、そのリーズナブルさが重宝されていました。

さて、さっそく、広州の第十甫路にある本店へ。老舗だから敷居が高いと思いきや、地元の人に愛される人気店でありました。営業時間中はずっと食べられる飲茶を囲んで、リラックスムードの客ばかり。有名店にいざ!と意気込むほうがかえって浮くぐらい、いわゆる大衆食堂的雰囲気に溢れています。

さすが飲茶のお味は良いです。深圳で飲茶を出す店は、大型店になればなるほど香港人を意識した店作りをしています。どちらかというと、誰がいつ来ても良いように(接待客であろうが常連であろうがファミリーであろうが)それなりに満足させる全方位型です。広州の本店は、リピーター客、とくに近所に住む人たちを一番に大事にするという姿勢が強いです。(市内にあと5店舗ある支店はそうでもない)

こうしてリピーター客を掴んで離さないのは、華人商法の鉄則であることを思い出させてくれました。

大虾饺32元
鲜虾瑶柱烧卖皇26元

 

  • 有名店ゆえの証書の数々

「陶陶居」はブランド名です。創業した頃に手製の月餅で有名店への足掛かりをつけました。

そして「月餅」といえば、毎年有名ブランドのニセモノが出回る代名詞的存在です。

陶陶居の場合、月餅だけでなく、店名もパクられたケースも多発したようです。ブランドイメージの維持に長らく頭を悩ましてきた経緯は、自社の公式ホームページで紹介される「証書」の数々に見て取れます。

本店の建物は創業当時の趣を色濃く残しています。深圳から広州へ足を伸ばすときは、ぜひ100年以上続く老舗の味をご堪能あれ。

http://www.taotaoju1880.com/

 

【ライター:加藤康夫(東方昆論法律事務所/コミュニケーションデザイン海外事業部)  】

加藤康夫
華南NET代表、東方昆論法律事務所パラリーガル、(株)コミュニケーションデザイン海外事業部。東京外国語大学(外国語学部)在籍後、講談社  契約記者。深圳大学(中国広東)留学を経て華南(香港)日商企業信息資訊有限公司設立。CEO兼編集長として香港華南エリアの日本企業向け会員制ビジネス誌「Kananmonthly」発行。プロモーション・マーケティング支援、法律実務コンサルティングを経て現職。1972年水戸生まれ。

 

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