中国の営業電話のロボット化がすごい

私は中国の法人を持っているので、会社登記に使用している電話番号にたくさんの営業電話がかかってくる。その中でも最近特に多くなってきているのが、ロボット営業電話である。

使われ方としては、不動産や金融ローン、保険、企業向けコンサルなどの営業電話が一番多く、その他にも意識調査などの電話調査にも使われている。

 

基本的には音声認識技術を使っており、相手の話した内容に合わせて回答内容を瞬時に選択して音声を流す仕組みである。

いろいろな営業電話を受けることが多く、毎回試しているが、基本的な“何の会社ですか?”“どのような内容か?”そのような回答は100点満点である。その中でもたまにWeChatとアリペイどっちを使ってますかなどの質問が合間に入ることもある。

出来のいいものは質問系で投げかけてきてこちらは「ok」や「はい」など簡単な答えで済むような内容で攻めてくる。いわゆる日本にあるテレアポと同じように会話が仕組まれている。面白いのはそこで拒否をすると、説得的な喋り方になり、納得させようと押しが強くなるところである。

実際に筆者がロボット営業電話を受けている様子。

 

 

とにかくこちらが喋ったことが聞き取れているわけで、聞き取れているということはその内容がビッグデータとなり、そのデータを解析してディープラーニングすることにより、完璧な電話対応が可能になる。また、ちょっとした会話から、この企業はこの分野に興味がある/ないなどの情報も取ることは可能であろう。

実際には様々なレベルのものがあり、最初の5秒でロボットとわかるものから15秒位でやっとロボットだとわかるものまでいろいろある。

また、間の取り方が上手いものはちゃんと会話っぽく成り立つ、全体的には中国得意の完成度60%感のものが多い。

 

どちらにしても都合が悪い、もしくは回答しづらい内容であると大抵は“電波が悪くてよく聞こえない”“最近来たばかりで詳しいことは分からない”と答えるものが多い。

大抵の場合は“WeChatを交換しましょう”とこちらが言うと“担当マネージャーから連絡行きます”と言われて電話が終わることが多い。この場合はWeChatを電話番号で友達追加機能がオンになっているとWeChatを追加してくる。その機能がオフになっていると特に担当マネージャーと言われる人からの連絡はない。

実際にこれらのソリューションを提供している企業も多く、ネットで探して内容を見てみると効率アップや人員削減でコストダウンなどいろいろと挙げられている。

現在は自分のところにかかってくる営業電話の3割くらいがロボットである。ロボットにすることでのメリットもあると思うが、実際にどのくらいの成果が出るものなのか、業者に問い合わせても、良いことしか言わないので分からないが、業績は200%以上になり、時間効率も10倍以上で、人件費が半分になるとのことである。

このような所にも音声認識など取り入れて実際に使っているのが面白い。

調べてみるとこの手の業者は、深センを含む珠江デルタエリアが北京より多く集まっている。ロボット自体を無料で提供し、通信量などで利益を取るところもあれば、ソリューションの販売をしているところなどもある。今後、この性能がどのくらい上がるのか半年くらいしたらすごいのが出てきてもおかしくないし、ロボット電話がなくなっている可能性もある。このへんの予測できないところと、スピード感は深センだけではなく中国でもあちこちで起きていることで、そこが面白いところでもある。

 

【ライター:佐々木英之
中国深センの富門グループ(Richdoor Group) にて10年間の中国ビジネス経験。
日本に出張すると数日で深センに帰りたくなるという「深セン通」である。

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