なぜ深センに来る若者は皆南山,宝安や龍崗に行くのか

広東省統計局は先日1つのデータを公表した。2018年広東省の人口が177万人増加し、その中でも珠光デルタエリアの増加人口が155.45万人で全体の85%となっている。

深センは1年間で49.83万人増えており珠光デルタエリア内でトップである。

深センの2016年の人口増加は52.97万人で、2017年の人口増加は61.99万人となっていて、2018年は49.83万人であった。

3年間の合計が165万人を超えている。

こんなにたくさんの人は一体どこに行ったのだろうか。

 

区域ごとに見てみると、【深セン統計年鑑2018】の中に、2017年の深センの各区の人口ランキングが出ている。

宝安区314.90万人、龍崗区227.89万人、龍華区160.37万人、福田区156.12万人、南山区142.46万人である。

 

ハルビン工業大学(深セン)経済管理学院執行院長、人口経済学専門家 黄成氏は次のように話している。一つの都市にしっかりとした経済パワーがあるか、発展する機会がしっかりと足りているか、皆が自分の足で見て決まる。これは人口増加とその関連区域は経済パワーがあるかどうかと密接な関係があると言える。

データを見ると、南山、龍崗、宝安の2019年GDPランキングにおいて深センの1、2、4位となっていて、宝安区のGDPランキングは低いように見えるが、2018年までで宝安区の国家級ハイテク企業は3900社に達しており、南山区の数を超えて、広東省でトップとなっている。

 

また、深センの“東進”として発展している龍崗区は2018年この区のGDPが4200億元を超えると予測されている。増加率11%と著しく伸びていて、深セン市の中ではトップとなっている。

データから見ると2015年から2017年の間、深センが引き入れた人材の平均年齢は27歳である。これは大学院で博士や修士などを取って卒業する年齢である。いわゆる高学歴の人たちが深センに流れてきて、コンピューター、IT、機械製造、金融などの領域で主力となっている。

人口増加の背景には、深センの主力となる業界に高度人材が集まっている所にあるというところだろう。

最近公開されたデータによると、北京大学卒業生の多くが卒業後に深センか杭州を選んでいる。2018年のデータによると卒業後、深センに来た人は472人で、北京に残った人の半分近くとなる。ファーウェイやテンセントといった企業に人材が流れているのである。

産業が発展し、そこに必要とされる人材が多くなり、さらに高度な人材が必要となったのである。このように人材が必要となる背景があるため、たくさんの人が集まってくることにより、深センの人口が増えたのである。

産業が発展し、人口が増えることで。さらに深センの産業競争力が上がっている。

 

深セン市で2018年新しく登記された企業は、48.5万社になり、累計企業数は311.9万社に登る、創業密度が全国の都市の中でトップである。

その背景には、2018年新鮮のGDPが2.4億元(約39.7億円)を超え、前年比7.5%増となり、経済としてはアジアの都市で5番目となる発展だ。

“中国イノベーション100強区”トップ10のうち4つが深セン市内の区である。

南山区1位、宝安区2位、龍崗区5位、福田区7位である。

このうち福田区を除いた3つの区に人が集まっていて、それぞれの場所に特徴を持っている状況が伺える。

特許の数や、ハイテク企業の数、インキュベーションオフィスの数など、様々なデータからこの3つの区が優勢にあることが分かる。

なぜ、深センの若い人たちは、南山、宝安、龍崗に行くのか、それはイノベーションである。新しいことを始める若い人がこの場所に集まっているため、各区の政策も後押ししている。

それに合わせて、この地区のマンション販売も激戦区となっていて、

この3つの地区に新しいマンションがたくさん建設され、新しい物件が次々と出てきているとのことだ。

 

佐々木英之
ホワイトホール深セン事務所にて10年間の中国ビジネス経験。
日本に出張すると数日で深センに帰りたくなるという「深セン通」である。

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