深センで「イノベーション・オートショー」が開催!

2019年6月1日から9日にかけて、深圳会展中心で「第23回 深港粤(深セン/香港/マカオ)車展」が開催された。中国語では文字通り深センおよびその近郊エリアの名前がついたモーターショーであるが、英語表記が「イノベーション・オートショー」となっている点が実に深センらしい。

訪問のきっかっけは、筆者が先日飛行機に乗った際に上海モーターショーの動画が流れており、中国の新ブランドのEVが多数紹介されていたことから、「この展示会も面白そうだな」と思ったからだ。

展示会は深圳会展中心の全ホールが使用され、国内外のブランドが大規模ブースを出してはいたが、基本的には中国現地からの出展が多かった。

1番ホールには「トヨタ」や「ホンダ」、「フォルクスワーゲン」、「フォード」等、中国でも有名な海外メーカーが並んでいた。中国では同じ「ホンダ、トヨタ」でも「東風ホンダ」、「広汽ホンダ」等と分かれるが、それぞれでブースを出展しているため、重複している印象を受けた。

今回の展示会で最も規模が大きいブースを出展していたのが「アウディ」。中国での人気、中国市場を重視している姿勢が伝わってきた。次に大きかったのが、「ベンツ」と「BMW」だ。どちらも大勢の人で賑わっており、日本車ブースよりも関心を集めているようだった。

海外勢としては「ポルシェ」や「ランボルギーニ」、「ロールスロイス」、「マセラティ」等も出展していたが、「ポルシェ」ブースに最も多くの人が集まっていた。

筆者が一番興味を持っていた新エネルギーエリアには、多くの中国系EVベンチャーが出展。今回初めて見たメーカーも含めて紹介していこう。

「NIO」国産EVメーカーの中でも特に有名なメーカーのひとつ。フォーミュラEにも積極的に出場しており、AI搭載ロボット「NOMI」が特徴。また、無人バッテリー交換所を街中に設置しており、充電する代わりに5分間でバッテリー載せ替えるサービスも提供している。

「小鵬」2014年設立された広州のメーカー。「テスラ」を含む国内外の車メーカーから集めた技術者でチームを作り、自動運転の研究開発も推し進めている。「アリババ」や「フォックスコン」からも投資を受けている。自動運転での駐車機能も搭載している。

LINK&CO」2016年に「吉利汽車」と「ボルボ」が提携して誕生したブランド。欧州の最新技術を取り入れながら、国内だけでなく世界に向けて販売している。

「WEY」「長城汽車」が約1600名の国際研究開発チームを立ち上げ、2015年に設立されたハイエンド向けSUVメーカー。

「前途」2015年に設立されたEVスポーツカーメーカー。「北京長安汽車」の100%子会社である。軽量化にも力を入れており、K50の最高時速は時速200キロ。

「HOZON」2014年に設立された浙江省のメーカー。2015年からは清華大学長江デルタ研究院と共同で研究開発を進めてきた。今年は5G通信を使ったクラウドコンピューティング等も導入していく考えを示している。

「YUDO」福建省の地元企業出資で設立されたメーカー。SUVを作っている。2016年、福建省重点プロジェクトに指定された。

「ORA」「長城汽車」傘下ブランドとして、2018年に立ち上げられた。女性向けの可愛いデザインの車を中心に小型EVを作っている。

「ENOVATE」2018年にコンセプトカーを発表し、今年上海で開催されたオートショーでSUV「ME7」を正式発表した。「上海大衆汽車」の元総経理が独立して立ち上げたメーカーで、デザイナーに元ポルシェのHakan Saracoglu氏を起用している。

最後に今回展示はなかったが、深センで目にしたスタートアップEVメーカーも紹介しておこう。

「LEAPMOTOR」2017年設立のスタートアップEVメーカー。約200万円のEVクーペ「S01」が今月下旬に初納車されたばかり。ドア開けに静脈認識、電源オンに顔認識を採用しており、完全なキーレスを実現。運転席の顔認識は10人まで登録できる。

2019年5月の中国におけるEVの販売台数は10.44万台(中国自動車工業協会のデータより)。今月下旬には新エネルギー車補助金が引き下げられたため、今後販売台数にどのような影響が出るだろうか。

なお、都市部で導入されたナンバー規制政策の後押しもあり、新エネルギーナンバーを取得する人は依然として増え続けている状況だ。

蛇足だが、展示会では「Luckin Coffee」が臨時営業していた。「Luckin Coffee」は簡易店舗が一般的なせいか、期間が限られた展示会への出店も“お手のもの”といったところか。さすがである。

関連リンク
https://www.d1ev.com/news/shuju/93204

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記者:佐々木英之
ホワイトホール深セン事務所にて10年間の中国ビジネス経験。
日本に出張すると数日で深センに帰りたくなるという「深セン通」である。

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