深センのシェアリングバス「優加小巴(U+BUS)」、塩田区でもサービスを開始
|深セン市南山区の一部区間で運用されていたシェアリングバス「優加小巴(U+BUS)」が塩田区でもサービスを開始した。南山区ではシェアリングバスと言ってもミニバンやワンボックスが使用されていたため、バスを使用したサービスは塩田区が初めてとなる。
「優加小巴」とは一体どのようなサービスなのか。
端的に言えば、乗る場所、降りる場所を決めて呼べるバスサービスだ。「深センバスグループ(深セン巴士集団)」と配車サービス企業「滴滴打車」のバス部門である「滴滴優点」の提携で誕生したサービスで、市民の“ニーズに合わせて気軽に利用できることをウリにしている。
「優加小巴」はアプリで乗る場所、降りる場所をユーザーが設定し、バスを呼ぶというもので、日本で言えば「Uber」、中国で言えば「滴滴打車」と同様のサービスとなる。入力情報によって、ピックアップしてくれるバスが自動的に決められ、ユーザーにとって最適なルートを通るバスが指定場所に来る仕組みになっている。すでにサービスが開始している南山蛇口エリアと江西省上栗エリア同様に、もっとも合理的かつ最速で目的地に到着できるようにビッグデータが活用されているようだ。
同じ方向に向かう客をピックアップしながら運行するため、利用料金も非常に安い。しかし、中国は路線バスの運賃がもともと格安であるため、「タクシーや滴滴のようなサービスと比べると非常に安い」ということになる。路線バスよりは割高だ。「滴滴」のサービスにある「相乗り」(※)を、より定員数が多いワンボックスやバスを使用することで、1人あたりの利用料金を下げているわけだ。
※ 日本の「Uber」は相乗りサービスを提供しておらず、日本人にはピンと来ないかもしれないが、中国では普通に利用されているサービスだ。
塩田区でのサービスを開始するにあたり、深センバスグループと「滴滴優点」のスタッフは、現地視察を行い、塩田区のバス運行状況や道路状況等を徹底的に分析してサービスを開発した。大量のビッグデータを分析・活用することで、バスの利用効率は大きくなり、全体の運行計画も効率化できるという。
先日、塩田区ではサービス開通式が催され、深センバスグループ董事長の載斌氏をはじめ、深セン市塩田区人民政府副区長の羅穀氏、深センバスグループ副総経理の周志成氏、深セン市公共交通管理局副局長の曾浩氏、深セン市公共交通管理局塩田管理局副局長の長程亮氏、滴滴優点科技(深セン)有限公司董事長の張革初氏等が出席。「深センバスグループ」「滴滴優点」の両社は「塩田区の運営開始を機にサービスをさらに拡大し、いずれ深セン市全域に広めたい」と抱負を述べた。
記者:佐々木英之
ホワイトホール深セン事務所にて10年間の中国ビジネス経験。
日本に出張すると数日で深センに帰りたくなるという「深セン通」である。