深圳ローカル考(7)/滴滴出行、日本進出②~キャッシュレスの日中事情

タクシー配車サービスで世界最大手の『滴滴出行』日本進出ということで、実際に都内のタクシーに乗った際にいろいろ聞いてみた。

――迎車料金が無料で、キャッシュレスの配車アプリの登場で、仕事はどうなるか?

(例)日本交通のタッチパネル。スマホ対応は写真の4種類

◆全国タクシー:2017年10月現在で全国約4600万台のタクシーに対応。日本最大級。JapanTaxi株式会社(旧 株式会社日交データサービス)によるサービス。

◆支付宝:アリババ集団傘下。日本では2017年1月末よりローソンでサービスを開始。

◆微信支付:テンセント集団傘下。2015年7月日本でサービスを提供すると発表し日本の百貨店などに導入スタート。

◆Origami:2012年創業。日本スマホ決済大手。2017年1月日本交通(3500台)と提携

 

都内タクシー運転手10人に聞きました

さっそく冒頭の質問を都内で乗ったタクシー運転手に聞いてみた。

予想よりアプリ自体の利用率は低かったのは以外だった。全国タクシーは1日2~3件、利用者は20~40代がほとんどで、使用料金も平均2000円以上になれば高いほうなので「ありがたみが乏しい」という。

支付宝と微信支付は、各タクシー導入して1年ほどが経っていた。「使用した客がいた」と答えたのは10人中1人(!) 中国人客(正しくは中国語を話す客)の支払いは、現金7割以上、カード2~3割だという。

現金支払いよりスマホ決済のほうが便利という声もある。たしかに中国ではそう思う。ただスマホ決済はキャッシュレスの一つの形態にすぎない。日本ではキャッシュレスなら今でもカード払いで対応しているし、中国語を話す客は「現金好きだから、今のままで十分」という考え方が強いことがうかがえた。

少なくとも現時点では、タクシー業界がもっと“おもてなし”を充実させるにあたり、キャッシュレスの選択肢をこれ以上増やす必要性は低いということだろう。

 

(「滴滴出行、日本進出③~迎車対応は運転手次第?に続く」)

 

【ライター:加藤康夫(東方昆論法律事務所/コミュニケーションデザイン海外事業部)  】

 

加藤康夫
華南NET代表、東方昆論法律事務所パラリーガル、(株)コミュニケーションデザイン海外事業部。東京外国語大学(外国語学部)在籍後、講談社  契約記者。深圳大学(中国広東)留学を経て華南(香港)日商企業信息資訊有限公司設立。CEO兼編集長として香港華南エリアの日本企業向け会員制ビジネス誌「Kanan
monthly」発行。プロモーション・マーケティング支援、法律実務コンサルティングを経て現職。1972年水戸生まれ。
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