これが”深センスピード” 武漢に続き20日間で病院を建設
|2020年2月24日、深セン市委書記で、深セン市新型肺炎対策センター指揮部の総指揮である王偉中氏が、新たに建設された国家感染性疾病臨床医学研究センター(深セン市第三人民医院)救急院区の最終確認を行った。
深セン市第三人民医院の隣にある約6万平米の敷地に、わずか20日間で高レベルの救急病棟を建設。この救急病棟はベッド1000床、減圧部屋にはベッド800床、ICUはベッド16床、手術室2室が作られている。王氏は「20日間で完成したことは、新時代の“深センスピード”を実現できた」と述べた。
※深センスピードとは・・・1985年に完成した深セン国貿ビルの建設時に3日で1フロアを作ったというところから”深圳速度”という言葉が使われており、深センの発展のスピードを象徴する言葉として現在でも残っている。
この他にも同病棟には医師用レストルームや事務室、血液保存庫、CT等の設備も導入されており、医師や看護師は寝泊りできるという。
去る1月28日、王氏は深圳市第三人民医院を視察し、建設プロジェクトを指示。その数日後の31日、今度は市長、深セン市新型肺炎対策センター指揮部常務副総指揮の陳如桂氏が深セン市第三人民医院を視察し、今回のプロジェクトが正式にスタートした。
建設には深セン市建築工務署、中建科工グループ等、80社超の企業が関わり、300社以上の材料設備サプライヤー、500台以上の機械設備を投入。1万人近いスタッフが24時間体制で作業を進めてきた。
時系列で流れをまとめると以下の通りだ。
2月1日 :図面が完成
2月7日 :地盤基礎工事が完了
2月8日 :電気設備工事開始
2月14日:2560台のコンテナ搬入が完了
2月19日:工事完了
本プロジェクトは感染者が急増する前に、多くの人々を受け入れられる体制を整備するという明確な目的があった。
深センは国内最大の移民都市であり、毎年、春節休暇終了後には1000万人近い人々が雪崩のように深センに戻ってくる。そして200万社超の企業が一気に動き出す。今年は新型肺炎の蔓延を阻止しなければならず、多くの人々が深センに戻る状況下で、政府としてどのように対応するかが試されていた。
プロジェクト完遂にはBIM(Building Information Modeling)、ドローン等のスマート建設技術も欠かせなかった。
BIM技術から出る情報を通して、建築作業をスマート化することで建設スピードを上げるとともに、ドローンで建築現場の全方位可視化を実現させ、作業の効率化につなげた。また、積み木式(モジュールをつなぎ合わせるように、コンテナのような筐体をつなぎ合わせる方式)を採用したことが、高効率の実現につながった。
建設に使われている300種類以上の材料は、最高レベルの「A+」と言われる材料を採用し、手術室や減圧ルームにも最先端の材料が使われたという。
先日、武漢では10日間で病院を完成させたというニュースが報じられて話題になったが、こちらは仮設病院のような施設だ。一方、今回深センで建設されたのは、かなり本格的かつ質の高い病棟で、武漢のものとは比べられない。
2月24日現在、すでに多くの人々が深センに戻ったようだ。同時に街は徐々に賑わいを見せるようになっているが、いまだ外出を避ける人々も多いと聞く。
一刻も早い事態の収束を願うばかりだ。
関連リンク
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記者:佐々木英之
ホワイトホール深セン事務所にて10年間の中国ビジネス経験。
日本に出張すると数日で深センに帰りたくなるという「深セン通」である。