【コロナ中国事情】これからの中国はどうなるのか?

中国では4月4日が「清明節」となり、午前10時に全国で一斉追悼が行われた。
清明節は、年に1度先祖のお墓にお参りをする日である。

まだ、コロナウイルスが収束しているわけではないので、各所で追悼式を行うわけではないが、10時になったその瞬間は、3分間の黙祷や車も止めてクラクションを鳴らすなど、全国で追悼する形となった。
また、各大手サイトなども、この日は一日モノクロとなり、SNS上でも追悼ムード一色となった。

 

 

QQメールもメールボックスが全てモノクロに

 

現在、日本のニュースでも中国ではウイルスが収束してきている内容も報道されているが、実際はどうなっているのだろうか。

マスク仕入れ

 

筆者の友人などの行動を見ていると、街はすでに日常を取り戻しつつも、マスクは皆着用していて、オフィスビルや一部のお店、マンションの入り口などでも体温チェックは引き続き行われている。友人も何人かで集まって飲みに行く人もいる。

街中は日常になりつつも現在の新規感染者は、ほとんどが海外からの帰国者ということもあり、空港やイミグレーションでのチェックは非常に厳しい。現在でも日本と中国の飛行機は週に7本しか飛んでおらず、深センはおろか広州の飛行機も飛んでいない。

中国人でも外国人でも入国時にPCR検査をさせられ、陰性でも自宅にて14日間の強制隔離となる。現在もこのような場所はまだ解放されておらず、まだまだ規制は続いている。

では、これからの中国はどうなっていくのか。

今回のコロナウイルスの影響は日本でも大きく、飲食店や中小企業にとっては厳しい状況が続いているが、中国では意外と当たり前のように飲食店が再開していたりする。
もちろん倒産に追い込まれた企業や、失業した人も出ているが、日本と比べると切迫している状況は薄い。

周りの個人事業の飲食店で「倒産した」という話は今のところ聞いていない。皆生活が苦しいとか、マイナスな情報は周りで見ることはなく、筆者の知り合いである飲食店からも当たり前のように「再開します!」といった投稿があった。

経済が上向きであったことも多少の要因かと思うが、周りの飲食店経営者の投稿を見ていると、実家でじっと過ごしていたり、無駄な出費の内容にお互いが協力していたこと、今まで見てきた中国人は、若い人でもお金を貯めることの意識が高いので、「いざという時に生活できないくらいお金がない」という人が日本に比べると少ない気もする。

中国と日本では、財力や政策、主義の違いはあるものの、日本のニュースを見ている限りでは様々な企業が切迫しており経済的にも精神的にも大打撃を受けているが、中国では今までに行ってきたコロナウイルス対策については少し日本と違うもの感じる。

大きな違いは国民に現金給付などは行っていないことだ。
以前の記事で政府が出した政策については少し書いているが、それ以外にも企業向けに細かいものはたくさんある。

春節休みと重なったこともあったが、中国ではほとんどのお店が休業していた。
営業を行っていたのはスーパー、コンビニなどの食料品販売、一部の飲食店は営業していたが、店内での飲食が禁止になっていたため、テイクアウトかデリバリーのみ対応であった。現在日本で出ているような「生活維持のため」のという概念とは違う。一部の飲食店は営業していたが、その他の娯楽関係やショッピングモールには全て休業させていた。

飲食店について日本との大きな違いは、デリバリーが当たり前になっていたことで、基本的にどのお店もデリバリーサービスに対応し、お店もユーザーもその環境に慣れていたことが大きいだろう。

4月に入り、深センでは各区が商品券を抽選制で発行し始めている。
額面も様々で、大きいものは3,000円ほどの割引額だ。宝安区では2億元分(約30億円)、羅湖、福田、龍華、光明区では3,000万元分(約4億5千万円)を発行し、地区のショッピングモールで使える。

 

中国ではこの期間中、オンラインや無人でのサービス等が注目されており、そのサービス系企業が勢いを見せてきている。さらにそれらのサービスは既に実験的な社会実装をしていたため、データを元にさらにスピードアップして進んでいくのではないかと感じる。
特にオンライン教育は伸びており、教育系企業だけではなく、テンセントなどの大手IT企業も参戦している。

 

実は、今回のコロナウイルス対策で筆者が一番疑問に思っていることは、検温についてである。日本で外に出かけて検温されることは今もない。中国では早期からオフィスビル、地下鉄などの公共交通、マンション、ショッピングモールなどあちこちで検温をしていた。

ちなみに今現在も中国ではこの体制が続いている。筆者の友人は朝家を出て、職場に向かい、帰ってくるまでに8回も検温を受けている。日本では筆者が行った病院で検温するよう求められたが、普通の体温計を渡され自分で紙に体温を記入する。よく見ていると使った体温計は特に消毒されることなく、次の人に手渡されていた。

体温だけが重要であるとは思わないが、これを徹底することにより、市民の意識は上がるのではないかと思う。
この検温の光景は中国ではあちこちで見ることができる。額に当てて1秒でチェックできる検温器がなぜ日本に無いのかと感じるが、このような機械も多くは中国で作られているため納得ができる。

今回の新型コロナウイルスによる影響から一足先にリスタートを切り始めた中国は、この期間中に伸びてきたオンライン業界、医療ロボット、5Gを使った遠隔操作、無人サービスやデリバリーサービスなど、逆境をバネにして伸びようとしている。最先端の産業が更に伸びていき、日本との差が開いてしまうことについては懸念がある。

引き続き、中国を注視していく必要はありそうだ。

 

記者:佐々木英之
ホワイトホール深セン事務所にて10年以上の中国ビジネス経験を持つ。
日本に出張すると数日で深センに帰りたくなるという「深セン通」である。

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