深センの細胞バンク『軍人からのスタートアップ』独占インタビュー

深センのハイテク技術産業、第二の中心と言われる場所、龍崗(ロンガン)。

ここは遺伝子及び細胞産業チェーンの研究基地でもある。この場所で我々は華南地区最大の細胞保存センターを運営する深セン天元生物科技有限公司を訪問し、独占インタビューを行った。

この企業との出会いは偶然で、筆者の友人でもあるSunStoreという顔認識コンビニのマネージャーが紹介してくれたのだった。
その時、もともとはこの顔認識を使ったニューリテールの企業と、遺伝子企業が同じグループに属していたことを知った。中国ではこのような想像もつかない組み合わせを見ることが稀にある。

今回インタビューに応じてくれたのは、華南地区総経理の陶家輝氏で、将来の精密医療市場に対して見据えており、友人からの出資を受け、2015年に遺伝子解析の会社を設立した。陶氏は起業する前、深センで20年間軍人を勤めていた。

「体制の中で公務員として、安定していた。しかし、20年の安定した生活の中で、自分はこんな生活を送りたかったのではないと考え始めた、そこで起業する事にしたのです」起業についての質問についてこのように答え、更に次のように続けた。

 

「健康というテーマはここ数年非常に話題となっている。その中でも、遺伝子治療というのが初まったばかりで、現在世界には難病と言われる病気が7,000から10,000種も発見されている。研究の基礎もしっかりしていて、且つ経済的価値も非常に高いのです。」

現在の遺伝子治療の医学治療法としては主に体外遺伝子治療と体内遺伝子治療がある。体外治療は自分の体内の問題がある細胞を取り出し、体外で遺伝子修復を行い、修復が完了した細胞を体内に戻す形である。これは「個人のための薬」と言える。

 

体内遺伝子治療は、糖尿病や脳卒中などの病気の遺伝子及び細胞の問題を分析し研究開発によって造られた「万人の薬」となる生物製剤を体内に入れることで治療を行うもので、病気の予防にも利用されている。

 

現在、細胞の保存は20年間までとなっており、この20年間の間に医療上問題ないと判断できれば、保存してある細胞を使い、ガン、糖尿病、脳卒中、パーキンソン病、脊椎損傷などの治療に使うことができる。

陶氏は次のように語っている。
「過去10年、シーケンサーとテスト薬品関連の技術がとても難しく、海外企業が独占状態にあり、中国企業の多くは検査サービスを行っており、コストを抑えるのが難しいという点から、誰も手を出していなかったんです。
なので我々は新しい道を切り開かなければならず、香港大学の力を借りて、 MITなどの世界有名校の教授を集めて、現在第3代となる単分子シケーンサーを作りました。70以上の特許と40余りの発明特許を取得しており、深セン市政府サポートも受けています。」

「科学研究の成果を産業化していくことでバイオテックの発展を加速させるため、アメリカMIT医学院と教育提携をしたことは我々にとっても大きな一歩になります。どうやってレベルの高い提携をして行くか、それはバイオテックを用いて実際に遺伝子細胞治療として運用していくこと。それは我々の最も需要な課題です。」

デザイナーベビーと言われる子供の遺伝子操作を行う事についてどう見てるか、陶氏は次のように話している。

「実際にはこの実験の目的はエイズ患者に対しての一つの機会なんです。新しい世代にこのようなウイルスの脅威がないように、永久的な免疫力を得るためなのです。私はこの実験を中国遺伝子科学の代表的な進歩であると思っています。」

最後に陶氏は、「機会があれば日本の企業とも提携したいと思っています。機会があれば中国の遺伝子操作企業の秘密を探りに来てください。」と、読者に対してメッセージをくれた。

 

 

インタビュー/文:Murra(ホワイトホール)

編集:佐々木英之
ホワイトホール深セン事務所にて10年間の中国ビジネス経験。
日本に出張すると数日で深センに帰りたくなるという「深セン通」である。

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