中国の年越し番組『春晩』深セン会場で5G通信を採用、4K映像を生中継

中国は間もなく旧正月を迎える。旧正月は地元に帰って家族と過ごすのが一般的で毎年『春運』と呼ばれる大移動が始まる。

そして旧正月といえば日本の紅白歌合戦にあたる番組『春晩』が定番である。

去年は中央テレビの『春晩』は広東省の珠海市がサテライト会場になっていたが、今年はサテライト会場の一つに深センが選ばれた。

2019年中央テレビの『春晩』はメイン会場の北京と、サテライト会場は、江西省井岡山、吉林省長春、深セン市の3つとなっている。このメイン会場+サテライト会場という制度は3年前から始まり現在も続いている。それぞれの場所のスタイルや特色を変えてメイン会場をサポートする形である。

既に番組の制作チームは大規模な番組プロジェクトを動かしており、旧暦の大晦日に国内だけではなく世界にいる中国人の向けての一大プロジェクトとなる、しかし今のところ、視聴者参加はあるのか、どの場所でやるのか具体的な発表はない。

しかし、1月の中旬に5Gを使った4Kテレビの放送テストを行うとの発表があり、深セン会場では4K高画質映像を5Gのネットワークを使って生中継をを行うというものである。これは中国では初の試みになるとのことだ。

5Gのネットワークを使って4Kの番組を見れるというのは一体どういうことなのか。視聴者にとってどんな違いがあるのか。簡単に説明してみよう。

まずは5G通信のスピードを比べてみる。

5G通信の理論上の速度は10Gb/s(1秒間に10Gbのでーたを送れる)

家庭用の1G光通信は1Gb/s

現在主流のWiFiは150Mb/s

家庭用の普通の通信は100Mb/s

4Gのネット通信は100Mb/s(TD-LTE)

理論上は家庭用1G光通信の10倍、Wi-Fiの66倍、4G通信の100倍となる。

5G通信は単にスピードが早いだけではなく、以下の方面において性能を発揮すると言われている。

タイムラグが4G通信の10分の1以上。

→自動運転の安全性向上

1キロ平方メートル毎に約100万台の設備を同時に繋げられる。

→IoTやスマートホームなどに応用。

時速500kmの設備も接続可能

→新幹線でネットがサクサク使える。

また4Kは今までのHD画像の約4倍の画素数となる。この4Kをネットで送るには40Mb/s~60Mb/sの通信スピードが求められる。これは今までの4G通信だと実際のスピードが8Mb/s~60Mb/sと言われているので、4Kをリアルタイムで通信するには追いつかない。家庭用のWi-Fiでギリギリ追いつけるくらいの感覚である。

これが5G通信を使うと最低でも100Mb/sのスピードが出るので、4K放送の通信に対する要求は問題ない。

また4Kの映像はスマホで見ても殆ど差が出ないので、家庭用テレビに映すなどして初めて効力を発揮する。

今回の2019年『春晩』の深セン会場においてはこの5G通信を使い4K映像をリアルタイムで提供する予定である。

また、5G通信はVRへの応用も可能となり、生中継でVR用映像を放送することも可能となる。

これ以外に中央テレビと3大キャリア、華為(Huawei)は共に国内10地点で5Gを使った4K映像のテストを行うと発表している。

ここに5G通信に関する一般的な質問があるので、紹介してみよう。

Q:どうすれば5G通信を使った4K映像を見れますか?

A;5G通信を体験するためには、5G通信を開通させ、5G通信対応の端末や設備を使う必要があります。(中国では5G対応スマホは2019年下半期に発売開始予定)

Q:5G通信ではダウンロード速度が1秒間に10Gbということですか?

A:10Gb/sというのはあくまでも理論上の数字で実際に使う端末や環境によって異なります。例えばスマホやパソコンは理論値が1.25Gb/sになっているので、この影響を受けます。

Q:2秒でHD動画がダウンロードできるようになるんですか?

A:例えば2.5GBのHD動画があって、5G通信を使うと理論上は2秒でダウンロードできます。実際は環境や、設備の影響が出ますので、おそらく10秒から1分間くらいはかかると言われています。

Q:将来的にWi-Fiは必要なくなるの?

A:Wi-Fiはコストが非常に低く、普通の生活上では十分満足できるスピードです。5G通信がメインになったとしても、室内における通信としてはWi-Fiは重要なネットワーク手段であると言えるでしょう。

中国では5G通信のテストおよび実用化が猛スピードで進んでいる。1年後にはどうなっているのか注目したい。

佐々木英之
ホワイトホール深セン事務所にて10年間の中国ビジネス経験。
日本に出張すると数日で深センに帰りたくなるという「深セン通」である。

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