「テンセント」全社員がオフィスに復帰! 同社の対策から日本が学べること

2020年2月26日より、「テンセント」(本社:深セン)ではオフィス勤務が再び開始され、3月2日には全社員が復帰することになった。「テンセント」は社員が安全に業務に復帰できるように十分な準備をした。例えば、社員に健康情報を事前提出させた上で“通行証”を発行し、一人につき毎週10枚のマスクを提供。食事や送迎等のサービスも提供している。

審査に通過することで発行される通行証は電子版で、審査に通らないと赤い画面になり、社員は出社ができないようになっている。 

 社員送迎バスは26日からすでに再開しているが、バスに乗る時やオフィスに入る時には通行証の提示が求められる。復帰のための申請にはポイントが3つあり、14日間の自宅隔離、新型コロナウイルスに関する学習、風邪や発熱の症状がないこと、と定められている。全国各地にあるテンセントのオフィスでは、オフィスの入り口に赤外線の体温センサーが設けられ、37.3度以上の体温の人はオフィスに入れない。 


オフィスに入ると床に一定の距離表示がされており、並ぶ際は1m以上の間隔を空けることが求められる。また、エレベーター内も賽の目のような線が引かれており、一定の距離を保つことが求められ、最大9人名しか乗れない。 

エレベーターについては1時間ごとに消毒作業が行われ、エレベーター横には消毒液、ティッシュも用意されている。マスクやティッシュを捨てるための専用ゴミ箱も設置されている。 


現在、各社員に毎週10枚のマスクが提供されており、社員はQRコードをスキャンすることでマスクを入手できるようになっている。IT大手らしい発想だ。 通常、春節休み明けには“紅包”と言われる中国のお年玉が提供されるが、今年はマスクに代用された。社員にマスクを提供するため、同社の行政部門はマスクの振り分け作業に連夜追われているという。

会社から社員への要求としては、オフィスに到着したらまず手洗いをすること、オフィスでは必ずマスクを着用すること、社員同士で話す時は必ず1m以上の距離を保つこと等が定められている。 

業務時は可能な限り会議を減らし、会議を行う際には、自社サービスである“テンセント会議”というアプリを使用している。基本はオンライン会議を行い、会議に同席する場合も距離をしっかり保つ。また、長時間の会議も行わない。この徹底ぶりには脱帽する。 現在、「テンセント」では外部からの訪問を禁止しており、会社の訪問客予約システムや展示ルームも停止された。外部企業との打ち合わせはオンラインのみとなっている。 

この特殊な時期においては、本社の社員食堂にも変化があらわれている。本社のシービューレストランと言われる社員食堂は営業停止となり、誰一人としていない。 

ウイルスの感染拡大リスクを下げるために食堂は使われず、食事は朝食は配給制で入り口でパン等を配り、昼・夕食は社内でお弁当を購入すると専門のスタッフが届ける形をとっているようだ。 

もし、外部のデリバリーサービスを利用する場合は、オフィスロビーに設置されたデリバリー専用ピックアップ地点でのみ受け取りが可能となっている。また、配達物が届いた場合もいったん特別倉庫に預けられ、それぞれに消毒を施した上で、翌日受け取れるようになるという。 

「テンセント」は業務復帰に向けた対策をしっかり取ることで社員の安全を守り、正常な状態に戻すために尽力するという。正常な生活が戻ってこそ、本当の2020年がスタートする、という考えだ。

一企業がここまで徹底した対策を取れていることは、なかなか真似できることではない。コスト等の問題よりも、社員の安全を優先することで士気を高め、将来の収益につなげていくーーそんな姿勢をひしひしと感じる。 

日本にはここまで徹底できる企業は存在しているのだろうか。経済の行末を心配することもいいが、こういうところこそまず学ぶべきところなのではないだろうか。 

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https://mp.weixin.qq.com/s/jxCZiaLE_RrTQOa9OHIkEw
 

記者:佐々木英之
ホワイトホール深セン事務所にて10年間の中国ビジネス経験。
日本に出張すると数日で深センに帰りたくなるという「深セン通」である。

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