深圳ローカル考(14)/微信の「トップストーリー(看一看)」が面白い
|昨年末、微信の「トップストーリー(看一看)」が更新されました。
いわゆるニュースのヘッドラインのようなページで、様々な媒体のトップニュースが「チップストーリー」で見ることができます。
小職のまわりでは、中国語の習得度に関係なく中国でダウンロードした「微信のまま」という人が多数派です。
ちなみに、少なくない日本人の呼称「WECHAT」は、厳密には微信ではなく、微信の中国国外版のこと。WECHATと微信では機能に差があります。
(今回紹介する「トップストーリー(看一看)」の更新は、中国でダウンロードした微信でのことなので、WECHATでは範囲されていないかもしれません)
■設定を日本語にすると……
更新直後のニュースはこんな感じでした。
政治、不動産、和牛ネタの順。
何日間か確認しましたが、トップニュースは必ず政治ネタであるようです。
また、不動産のネタもトップ3の常連です。
これらは、中国人の視点を、あくまで中国の都合でまとめた、とりあえず最新ニュースということですから、貴重な情報源とも言えます。
日本語に翻訳してくれたらもっと重宝するかも……と期待して、微信の言語設定を日本語にしてみましたが、……残念、コンテンツは中国語のままでした。
AI開発でトップクラスを走るテンセントのこと、技術的には可能なのかもしれませんが、わざと自動翻訳機能は付けていないのかもしれません。
■ツールから唯一無二メディアへ?
「トップストーリー(看一看)」の出典をざっと見てみました。
トップの政治ネタは、国営通信社の「新華社」。
そのほか、『軌道世界』、『理財知識』、『券商中国』、『口香糖生活』、『歴史文芸』、『美食工場』、など、政治、経済、芸能、生活、スポーツ何でもあり、ワイドショーのような、豊富かつ雑多なラインナップです。地方紙や専門誌サイトからもコンテンツの提供を受けているようです。
微信は、格安スマホの普及により、月間アクティブユーザー数が8億人を超える一人勝ちSNSツールです。シンプルな使用方法に特化し、もはや中国人の日常生活に欠かせないツールになっているのが現状です。
にもかかわらず、広告掲載を解禁したのは、アクティブユーザー数が5億人を超えた、ついこの前の2015年。圧倒的な普及率を得てから広告に本腰を入れる手法は、「トップストーリー(看一看)」でも同様でしょう。
トップの新華社ニュースと、動画サイトにのみ閲覧数(PV)を表示しているあたり、唯一無二メディアへの道を着々と歩んでいると思うのは、下種な勘繰りでしょうか。
【ライター:加藤康夫(東方昆論法律事務所/コミュニケーションデザイン海外事業部) 】
加藤康夫
華南NET代表、東方昆論法律事務所パラリーガル、(株)コミュニケーションデザイン海外事業部。東京外国語大学(外国語学部)在籍後、講談社 契約記者。深圳大学(中国広東)留学を経て華南(香港)日商企業信息資訊有限公司設立。CEO兼編集長として香港華南エリアの日本企業向け会員制ビジネス誌「Kanan
monthly」発行。プロモーション・マーケティング支援、法律実務コンサルティングを経て現職。1972年水戸生まれ。