深セン龍崗(ロンガン)区が急速発展!ランキングで全国トップに
|深セン市の龍崗(ロンガン)区という区がある。この場所は深セン市が設立された当初は経済特区に入っておらず、2010年に経済特区となった場所である。深センにおいて“関外”と言われてきた場所で、2008年頃までは経済特区内と特区外の間にイミグレーション機能があり、通行証を持っていないと経済特区に入れなかったため治安も悪く、主に工場が多くあった場所である。
現在、この龍崗区が、あるランキングにおいて全国トップとなったのである。
11月21日、中国地域工業経済発展フォーラム(2018)が開催され、“2018年工業100都市、100区”が発表され、龍崗区は工業100区でトップを飾った。
以下は2018年工業100区ランキングのトップ10である。
データを見てみると、今年の第三4半期において龍崗区の経済成長は良い成績を飾っている。
地域GDPは3100.06億元(約5兆円)で市内2位、成長率は11%で市内トップとなっている。
大型工業系企業の経済的付加価値は1903.57億元(約3兆1000億円)で市内トップ、成長率は14.6%でこちらも市内トップ。
一般品のセールス額の合計が557.26億元(約9100億円)で市内第5位、成長率は8.6%で市内で2位。
一般公共予算収入は206.78億元(約3400億円)で成長率が10.5%
輸出入総額が396.81億米ドル(約4兆5000億円) 成長率が14.1%
同時に、龍崗区は深センにおける2番目に大きな経済区で、トップの工業区である。中国経済区トップ10に入っている。
深センに住んでいる人からすると、まだ“関外”の印象が強い。
龍崗区は「地理的にちょっと郊外エリア」「交通渋滞がひどい」「学校が少なく治安が悪い」「仕事が探しにくい」という印象である。
しかし、将来的に龍崗区は大変身するだろう。交通や公園などの整備、都市づくりなどが大きく変わっていく予定である。
先日、深セン市政府が発表した
《深セン市人民政府、更に一歩進めたスピード発展戦略性、新興産業実施法案における通知》によると以下のような内容が入っている。
2025年までに、戦略的に新興産業のテクノロジー・イノベーションを国際レベルに引き上げ、世界500企業となる企業をさらに育成し、産業規模が100億を超える企業を10社以上生み出し、新興産業エリアを作り上げていく。
イノベーションを生み出す革新として、新世代の情報技術、ハイレベルな製造、低炭素、生物医学、デジタル経済、新材料、海洋経済など、7つのの新興産業を戦略的に展開し、イノベーションの駆動力となり、国際競争力の中に入っていける産業チェーンを作り、産業の連ベルを上げていく。
この中で特に注意すべき点は、この通知の中で37の重要地点が記載されている中で、龍崗区は6箇所も入っている。
坂雪崗科技城
アポロ産業エリア
宝龍科技城
国際低炭素城
大運新城
平湖金融、現代サービス基地
以上6箇所が記載されていた。
それぞれの場所について簡単に説明してみよう。
坂雪崗科技城
この場所はファーウェイ(華為)の総本部がある場所で、師の影響もあり、5G通信、人工知能、IoTの重点地区となっている。ここでは世界規模の5G産業発展地域となっている。
アポロ産業エリア
軍事関連企業が特色となっており、この場所は航空業、ドローン、新材料などの企業が集まっており、軍事関連企業のイノベーションデモンストレーション地区となっている。
宝龍科技城
この場所は集積回路ICなどの産業が多く、新世代情報技術、新材料、スマート製造などが重点となっている。
国際低炭素城
ここでは低炭素関連や環境系企業の他に航空関連企業が多く、新しい技術の実用化を進めており、航空産業の基地として、研究開発なども重点的に行われている。
大運新城
この場所は、人工知能や、ヘルステック関連の企業が多く、大きなインキュベーション基地を作っており、深セン市東部における、戦略的新興産業の集中エリアとなっている。
平湖金融、現代サービス基地
この場所はフィンテック産業が重点となっており、フィンテック企業の研究開発場所として誘致していたり、サービス業なども重点地区としている。
このように各エリアに重点地区を設けおり、エコシステムも出来初めている。
深セン市東部における中心地となりつつある。
同時に地下鉄や道路などの整備も進んでおり、また公園などの生活環境の整備も急ピッチで進んでいる。
2020年頃にはかなり生活環境も良くなっているであろう。生活環境がよくなることで就業機会も増えると言われている。
まだまだ発展し続ける深セン市の中で、今後の龍崗区に期待したい。
【ライター:佐々木英之】
ホワイトホール深セン事務所にて10年間の中国ビジネス経験。
日本に出張すると数日で深センに帰りたくなるという「深セン通」である。