「貴陽ビッグデータEXPO」 特別企画ツアーレポート

<<貴陽ビッグデータEXPOツアーについて>>
主催:株式会社ホワイトホール
エクサイジングアジア株式会社
協賛:株式会社ベクトル
EXPO概要

今年で5年目の開催となる「貴陽ビッグデータEXPO(中国国際大数据博覧会、数博会)」。毎年「テンセント」や「アリババ」、「ファーウェイ」等の中国IT大手、海外からも有名企業が多数参加する展示会である。

過去にはBAT(バイドゥ・アリババ・テンセント)の創業者をはじめ、国内外の有名な経営者などが訪問しており、国内外で注目を浴びている展示会である。今回は全6ホールに分けられ、国内外の企業448社が参加。ビッグデータ、AI、5G、無人運転等に関わる展示が目立ったが、中にはニューメディアやニューリテール等も展示されていた。また、政府関係者が集まるサミット、フォーラム、ピッチイベント等も開催された。

フォーラムの内容は多様で、一例をあげると、ファーウェイの幹部が5Gの応用や貴陽における取り組み、ファーウェイの優位性、5Gエコシステムの構築等について紹介。また、ビッグデータ業界関係者が最新情報をフォーラムで発表していた。

海外企業として出展していたのは、有名企業だと「Google」ぐらいで、昨年出展していた「クアルコム」や「Facebook」といった企業の姿は見られなかった。「米中貿易問題でクアルコムは自粛した」という報道もあったが、真偽は不明である。

日本企業としては「NTTデータ」が出展。ビッグデータを活用したスマートシティ構想の取り組み等について展示していた。

全体的にはスマートシティ、スマート医療、5Gが目立っていた印象を受けた。

中国の各キャリアの展示はほとんどが5Gに関するもので、チャイナユニコムは5Gを使った重機の遠隔操作に関する展示を行っていた。

展示会について

今回の展示会で多くの人の関心を集めたのが「テンセント」「ファーウェイ」「アリババ」のブースで、中でも「ファーウェイ」ブースがもっとも賑わいを見せていた。

ビッグデータ試験区のブースでは、貴陽の先進企業と行政が協力して開発したアプリが展示された。同アプリを介して行政手続きを行えるとともに、電子身分証や電子運転免許証等の機能もまとめられた便利なものだ。

また、貴陽は“貧困問題の解決、ビッグデータ、エコロジー”というスローガンを掲げており、農村部の貧困問題を解決するために行政が作ったプラットフォームも展示されていた。

中には「農業従事者向けに新しい仕事を探す」という項目があり、同プラットフォームを通じて彼らに質の高い教育を提供し、仕事探しを支援する。

昨年筆者がビッグデータ試験区の展示室で見た、貴州初のユニコーン企業であるトラック配車サービス「貨車帮」は、江蘇省の「運満満」というユニコーン企業と合併し、「満帮グループ」として出展していた。どちらもAIやビッグデータを活用した輸送マッチングプラットフォームである。

とにかく貴陽という場所は街全体がビッグデータというキーワードに囲まれている。筆者は昨年に一度訪問しているが、その時よりも“ビッグデータ”という言葉を目にする機会が増えた印象だ。

前回訪問時、地下鉄は一部路線しか開通していなかったが、今回は展示会場まで路線が伸びており、利用客数も大分増えていた。改札の一部には顔認識改札が設置されており、展示会期間中にお試しで登録、使用できるというものだ。顔認識改札は深センにも数ヵ所設置されているが、試験運用には至ってない。内陸の最貧省が、すでに深センを超えているのである。

深センにもあるアリババ系スーパー「盒馬鮮生(フーマー)」、人気コーヒーチェーン「Luckin Coffee(ラッキンコーヒー)」もすでに誕生していた。

去年は見かけなかった「Mobike」は今回電動版が都心部に置かれており、Mobikeシェアカーも確認できた。

都心部では当たり前になっている新サービスが、貴陽にも広がっている事実は興味深い。

貴陽は最貧省で電気代が安く、山に囲まれていて気候も落ち着いていることからデータセンターとして発展した。そこから「ビッグデータ」というキーワードを切り口に、政府主導でさらなる発展を目指している。今やビッグデータEXPOは、習近平国家首席から祝辞が送られるほどのも国家級イベントに成長した。

政府の後押しもあり、ビッグデータを活用するベンチャー企業が増加している。現在の貴陽は深セン等の沿岸部からの資本・人材の流入を背景に、スマート医療や物流プラットフォーム、無人運転、洪水予測システム等、様々な企業が育っており、大きく変化を遂げているのだ。

また、データ人材への教育にも力を入れており、人材育成の場所としても存在感を見せ始めている。

データセンター、データ人材、ベンチャー企業、国内外の大手企業が集まる貴陽は一年後がとても楽しみな街である。市の中心部を見ている限り、かつて最貧省であったとは思えないほどのパワーが満ち溢れている。

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記者;佐々木英之
ホワイトホール深セン事務所にて10年間の中国ビジネス経験。
日本に出張すると数日で深センに帰りたくなるという「深セン通」である。

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