キャッシュレスの先を行く「深セン」 顔認証で買えるケンタッキー
|フードビジネスにおいて、またしても深センが旋風を巻き起こしている。
先日行われた深セン視察ツアーで、すごいものを見てしまった。日本の発展が止まっているかのように思えるほどの衝撃を受けた。
WeChatペイによるキャッシュレス化を完全に実現した中国だが、ここ数ヶ月でケータイさえも使わずに「顔」で決済できるシステムが既にリリースされている。キャッシュレスの次はスマホレスになるのかもしれないと考えさせられてしまう。
中国のシリコンバレーと呼ばれる深セン市南山区のショッピングモールの中に、実験的に導入された「顔認証販売機」はケンタッキーフライドチキンの店舗内で利用できる。顔認識で買えるの機械が導入されているのは、深センでもまだここだけである。
デジタルサイネージ型の注文機でメニューを選び、決済方法に「顔認証でのお会計」を選ぶと、AIがフロントカメラに映る顔を認証し会計を済ませてくれるのだ。
実はこの機能を使うには、予め「Alipay(アリペイ)」アカウントを用意し、そこに自分の顔写真を登録しておく必要がある。更に店舗にあるQRコードでアクティベートをしてからやっと使えるようになる。
余談ではあるが、現在顔認証機能を使えるのは中国人のみで、外国人にはまだ開放されていない。いつか使える時が来てほしいものだ。
会計が済むと機会からレシートが出てくるので、それを持って待っているだけで注文したものがカウンターで受け取れるのだ。
中国では、テンセントの「WeChatペイ」と、アリババの「Alipay(アリペイ)」が、電子マネーの2大巨塔ではあるが、世界最大規模のWeChatというインフラを持つテンセントの電子マネーにシェア争いでリードされたアリババが、この顔認証を真っ先に取り入れ、市場に解放し差別化を図った。
アリババの膝元である杭州では、率先的に顔認識システムを試験導入しており、膝元以外の実験場所としては深センが選ばれている。それだけ深センという場所が、社会実装に向けた実験都市であるとも言えるだろう。
猛スピードで新たなサービスを開発しリリースしていく深センを見逃せない。