WeChatペイとアリペイ モバイル決済の争い

6月18日ウォール・ストリートジャーナルによると、中国の消費者が現金を使用が少なっており、キャッシュレス化が進むその背景には、アリババ(本社:杭州)とテンセント(本社:深セン)がモバイル決済の市場を統治している状況が大きいと報じている。

中国の二大IT企業間での大きな争いは全国各地のショッピングモールから、街中の小さい店舗にまで及ぶ、どこでもスマホを出してQRコードを読むだけで支払い可能な状態だ。

この1年間でアリババとテンセントはモバイル決済の領域において争ってきた。アリババ傘下のアントフィナンシャルは珍しい欠損金を公表した。アリババは割引や返金サービスを使ってユーザー数を拡大する動きを取ってきていた。ユーザー規模をテンセント傘下のWeChatPayを上回ろうとしている。

iResearch社のデータによると、昨年中国のモバイル決済の総額は15兆4千億米ドル(約1700兆円)に達しており、2015年の2兆米ドル(約220兆円)から大幅に上昇した。二大クレジットカードのVisaとMastercardの昨年の世界合計取引額が12.5兆米ドル(約1380兆円)となっている。

Javelin Strategy & Research社の調査によるとアメリカにおけるモバイル決済はまだまだ浸透しておらず、2017年、PayPalとApplePayを含むアメリカのモバイル決済の取引総額は3770億米ドル(約41兆円)となっている。

2004年にリリースされたアリペイは現在アクティブユーザーが5.2億とも言われている。アリペイに遅れること10年、WeChatPayがリリースされてからは一気に広がり、アリペイにすぐに追いついた。WeChat自体が中国人の日常生活で当たり前かつ重要なものになっていたところが大きい。テンセントの発表では今年3月の月間アクティブユーザーは10億を超えているという。

普段、WeChatを使ってチャットなどをしている中で、わざわざ支払いのために別なアプリを開くのが面倒でWeChatを立ち上げたまま支払える点からWeChatPayの利用率が高いと指摘する声もある。

一方でアリペイは、傘下のアントフィナンシャルが出している金融商品が強く、アリペイのアカウント内で投資などが行える点と、アカウント内にある金額を銀行などに移す時に手数料を取らない点が商用アカウントに支持されている。

昨年2月にアリペイは商用アカウント向けに新しいQRコードの発行を開始しており、支払いとともにポイントでの支払いもなども対応できる。

WeChatPayも金融商品を出しているが規模はアントフィナンシャルには到底及ばない。アリペイは商用向けに支払いデータを使ったマーケティングなどの商品も出したり、WeChatとは差別化を図る動きに出ている。

 

今後のモバイル決済は両社の争いの中でどのように発展していくのか、注目したいところである。

 

参考:https://mbd.baidu.com/newspage/data/landingsuper?context=%7B%22nid%22%3A%22news_8500979856366859650%22%7D&n_type=0&p_from=1

 

【ライター:佐々木英之
中国深センの富門グループ(Richdoor Group) にて10年間の中国ビジネス経験。
日本に出張すると数日で深センに帰りたくなるという「深セン通」である。

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