激しさ増す米中貿易戦争、ジャーナリストの近藤大介氏が展望。

ジャーナリストの近藤大介氏(週刊現代編集次長、特別編集委員、現代ビジネスコラムニスト)が9月25日、遊学堂(東京都千代田区)で開催された『未来の中国年表 超高齢大国でこれから起こること』出版記念イベントに出席。泥沼化する「米中貿易戦争」を展望した。

 

 

本イベントは自著『未来の中国年表 超高齢大国でこれから起こること』(講談社現代新書)が6月に出版されたことを記念して開催されたイベント。内容は大きく二つに分けられ、前半は「米中貿易戦争」、後半は人口データから見えてくる「未来の中国」をテーマに話が進められた。

 

近藤氏はまず、今回の「米中貿易戦争」が発生した原因や背景、一連の流れを解説した上で「中国はかなり厳しい状況に追い込まれている」と主張。さらに現時点では「米国と中国の“強さ”は、相撲で言うと横綱と関脇ぐらいの差がある」とし、11月6日の米中間選挙までは「中国は時間稼ぎをし、この問題を先延ばしにするだろう。米中間選挙から1年以内の解決を目指すはず」と展望した。

 

 

実際、中国は先日、米国との貿易交渉を取りやめたばかり。表面的には米国に対抗する姿勢を見せてはいるが、これはあくまで政権維持や国内の世論対策を目的としたものであり、中国国内では貿易戦争に関する報道も制限されている状況だ。

 

また、近藤氏は、中国側は今後米国との戦いに“三段階”を想定していることも紹介。第一段階が今まさに進行中の貿易戦争、第二段階が先端技術(特にAI)をめぐる戦い、そして最後の第三段階目が軍事衝突(東シナ海、南シナ海、台湾)だ。そして「中国が避けたいのは先端技術の争いと軍事衝突だろう」と推察し、「中国は貿易戦争については多少赤字を被ってもいいと考えているのではないか」と持論を述べた。

 

 

気になるのは、今回の米中貿易戦争に対して日本政府や企業はどのように対応していくかだが、近藤氏は「米国は中国に進出している外資企業は撤退しなさい、メイド・イン・チャイナはやめなさいというメッセージを送っている」としつつも、「貿易戦争での苦しい立場から中国はスマイル外交を始めている」とし、闇雲に米国に追随するのではなく、こうした状況を日本側が有効活用できるようアドバイスを送った。

 

『未来の中国年表 超高齢大国でこれから起こること』(講談社現代新書)

ベストセラー「未来の年表」の手法=「人口」の観点から未来を予測するという手法を人口超大国の中国に当てはめ、「人口」データを駆使して中国の未来を読み取った本。近藤氏は、長年にわたって「一人っ子政策」をとってきた影響から、中国の高齢化社会はかなり厳しいものになると予測する。 800円(税別)。

 

 

【ライター:飯塚竜二】

 

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