深センで早期からスタートアップ支援を行う《WeYoung》に突撃インタビュー!
|WeYoung(ウィーヤング)とは、TMT分野の早期投資に重点を置いたインキュベーションプラットフォームで、「東洋のシリコンバレー」と言われる南山区のソフトウェアパークというベンチャー集積エリアの中にある。
今回、深セン経済情報では、このインキュベーション施設の運営責任者であるJenni氏にインタビューを行った。
総面積は6,000 ㎡、スタイリッシュなデザインの施設には、若いアントレプレナーが多く集まり、強力な起業エネルギーを感じる。
オフィスとしての場所の提供と投資などの資金面でのサポート以外に、WeYoungは南極圏(南極圏とは、テンセントを離れた社員が自発的に作ったコミュニティで、中国ITのスタートアップ向けサービスを行う組織)と提携し、南極圏が生まれたばかりのプロジェクトを探し、それをWeYoungにつなげてインキュベートさせ、繋げたスタートアップからは株をもらうという複合的な運営方式をとっている。この様なやり方により、スタートアップ企業に対して、持続的な資金提供や、販売チャンネルの提供など、様々なアセットを提供することができる。
インターナショナルなオフィス環境と、複合的な運用モデルにより、2014年の設立からわずか4年間で急速に発展した。
このインキュベーションセンターは多くの起業家を送り出している。ベンチャーキャピタルから施設内企業約200社への投資総額は、600億元(約1兆円)となっている。
さらに中国を代表する企業、ZTE、ハイアール、BGI、フォックスコンなどにもアクセラレーターとして関与している。
我々は、深センでインキュベーターとして活躍するWeYoungのJenni氏に、インキュベーションオフィスの深センにおける役割や、ベンチャー企業の動向などを聞いてみた。
- WeYoung設立の背景は?
数年前から政府の方針として中国全体で起業を促進しており、深センの南山区にソフトウェアパークというベンチャーを育てるための機能を備えた商業施設が開発されました。
これは経済構造改革を促進するために重要な試みで、新しい技術や優秀な人材が集まることで、イノベーションを起こしていくことにつながります。
当社の創業テーマは、人、技術、情報、金融などのネットワークを最適化することで、「時間」という資源を有効活用するということです。
国家が掲げる「みんなでイノベーション、みんなで創業」というスローガンのもとに、起業家の夢の実現をバックアップしたい。国の政策と多くの起業家や投資家のおかげで急成長することができました。
- 深センの今後について
今、中国で最も開かれた最新の都市は「深セン」です。若くて元気で、私たちの文化にぴったりです。
代表的な都市である北京、上海、広州を繋げて、北上広(ベイシャングァン)と言われるが、これらの都市は歴史がありすでに成熟しています。
すでに出来上がった都市には、利権関係などもありイノベーションを起こしにくいため、歴史の浅い深センという街にはチャンスが溢れています。今後もこの街で自由な発想と実装が数多く繰り返され、まだまだ伸びていくでしょう。
- WeYoungはどのように訴求をしていますか?
主にスタートアップのためのピッチコンテストなど、イベントを各種企画しており、そこに多くの人を集めることで、我々の存在を知ってもらっています。
イベントが人を呼び、多くの交流が生まれ、この事業の重要性を知ってもらう。そして多くの人に共有してもらうことで、飛躍的に認知度が上がりました。
この施設のポップなデザインも若者の支持を受けています。
そして、この施設に入るスタートアップが、その後出資を受ける比率は30~40%、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルなどの繋がりを活かして多くの起業家をサポートしています。
- 現状の課題や目標はありますか?
中国では、この3〜4年でインキュベーションセンターが急増しました。
この期間中は、大きな困難は感じられず、全てのことが順調に運びました。
しかし、ここからはインキュベーションセンター同士での競争や淘汰など、色々な課題や壁が立ちはだかるでしょう。
心配の一つは政府の方針です。スタートアップと投資家とが繋がるプラットフォームとして、現状インキュベーター側は利益幅が少なく、多くは政府の補助金に頼っています。もし補助金制度が無くなったら、現在の収益モデルは維持できません。そのときのことを考えなくてはいけません。
もう一つの課題は、事業モデルの変革です。優秀なスタートアップを探すことと、クオリティの高いプロジェクトを繋げること、これがインキュベーターの勤めです。競争が高まる中で、どのようにしてこれらを集めていけるかが課題であり、事業モデルをアップグレード、多角化することで、差別化を図っていく必要があり、これは現在の目標とも言えます。
- 日本のマーケットについてはどう思いますか?
私たちは日本が大好きで、多くのコラボレーションをしていけたらと思っています。
実は今、日本のスタートアップがすでに3社入居しています。
ここ2年ほどで、日本からの視察団も多く、ソニーの吉田社長にもお越しいただきました。これはとても光栄なことです。
野村総研からも、日本企業の中国イノベーション領域に対する注目度が高まっているという研究報告が出ています。
我々のようなインキュベーターを通して日本と中国の関係がより良い関係になっていくことを望んでいます。
インタビュアー/文:Murra(深セン経済情報)
編集:白井りょう(深セン経済情報)
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